感謝2023年10月10日

今年はコロナ5類、わたしの産休明けということもありたくさんご予約をいただいております。昨日今日と二日間は愛知・三重・石川・東京・神奈川と総勢10名の皆さんが見学にいらしてくださいました。最高齢は86歳!そのうち2名の方はリピーターの方です。遠路はるばる、旅費や宿泊費をかけてきてくださることに本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。

博物館を引き継いでから12年が経過し、累計の見学者は約5000人になりました。楽しんで触察している笑顔やそれぞれとの会話…一度だけしかお会いできていない方、何度もお会いできた方、それぞれとの出会いが宝物です。来てくださる、応援してくださる皆さんのおかげで私の人生までもが素晴らしいものになっています。

これからも「来てよかった」「また来たい」と思っていただけるような場所であるよう精進して参ります。まだ知らぬ皆様との出会いをお待ちしつつ、これまでお会いしてきた皆さんがお元気で幸せでありますようにと心から願っています。

4月のお知らせ2020年04月02日

4月になりました、新年度が始まりました!!
とは言っても今年のスタートはすっきりしないものとなりましたね。3月はいつもに増してあっという間に過ぎ、振り返る余裕もありませんでした。日本が、そして世界が新型肺炎に侵されている真っただ中にいて、いつ終息するのか全く予測ができません。

新型肺炎の恐怖だけではなく不安や恐れが人々の心を支配しており、パニックを引き起こしたりデマを流布したり・・・差別や偏見が助長されたりと、世界中がひきつけをおこしているようです。東京都知事の会見があった頃に都内にいたのですが、翌日のスーパーは空っぽでした。そりゃそうだよね不安になるよね、と思いながらもすぐに買い物に行けない人(一人ぐらしで朝から夜まで勤務している人や、一人での素早い行動ができない人、視覚障害者もそうですね)はこの困難をどう乗り切ればいいのか?と。

手でみる博物館も休館を余儀なくされています。触察という性質や部屋の中での長時間の説明、発話はリスクが高いとされています。月刊「視覚障害」では誌上分館として手でみる博物館の連載がスタートしました。博物館には行けないけれど誌面でお楽しみいただけたら幸いです。


暗いニュースの中でひとつ明るい話題を提供しましょう。
3月26日にお付き合いをしていた方と結婚しました!!夫はこの手でみる博物館がご縁で出会った東京在住の全盲男性です。とても頼りになる最愛の伴侶を得て大変幸せです。よりいっそう自由に楽しく明るい家庭を築いていきたいです。お互い仕事があるのでしばらくは別居婚、通い婚ですが一緒に暮らせる日を楽しみに一生懸命生きていきます。


同じ国に暮らすものは同じ船に乗っているのと同然です。この困難を乗り越えてまたお会いしましょうね。

欄干のない橋2016年08月19日

8月15日、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で視覚障害者が転落し亡くなった。テレビやラジオからこのような転落のニュースを耳にする度に身体が一瞬こわばる。誰?わたしの知っている人かもしれない、と思う。


当事者である人たちに何度か聞いてみたことがある。
「ホームから落ちたことってありますか?」と。
「あるある、何度もあるよ」、「あるよ、危なかったよ」
わたしが聞いてみた人たちは、総じて「ある」と答えた。

そうか、そうなのか。
そんなに当たり前にあるのか、と驚いた。
全国ニュースになるのは亡くなったり大怪我をしたりした時。
なんでもなかったり軽傷だったり生還したから、この人たちはわたしの前にいて「あるよ」と答えているんだ。

切り立った崖でもなく、足場の悪い山でもなく、ベランダからでもない。毎日何度も使い多くの人が行きかう、日常と切り離せない駅のホーム。
そこからどれだけ多くの人が落ちているのだろう。


欄干のない橋、視覚障害者は駅のホームをそう呼ぶんだよ。
わたしの敬愛する師匠、桜井先生が昔に教えくださった。
そこはわたしのような目の見える者が想像しているよりもっともっと恐ろしい場所に思える。

「危ないですよ、気を付けて」
「お手伝いしましょうか」

誰かに声をかけることはそんなに難しいことだろうか。
今の自分にできることを粛々とやろうと思う。